ヒューマンエラーを防ぐ知恵

ヒューマンエラーを防ぐ知恵 (DOJIN選書)

ヒューマンエラーを防ぐ知恵 (DOJIN選書)

著者によるそのものずばりのコンテンツがありました。

http://staff.aist.go.jp/toru-nakata/humanerror.html

改めてなるほどと思った点


  1. 機械は人間の命令に従うしかない。人間の命令が間違っていることを機械に判断させるのは難しい。盲導犬はそれができる(「忠」の概念)。
  2. 事故を防ぐためには、状態遷移図の「決別遷移(事故圏に突入する状態遷移)」を行わせないことを考える。
  3. 事故が絶対に起きないことを証明することは悪魔の証明であり、不可能。
  4. ヒューマンエラーの明確な原因が不明であることも多い。だが、それでも「こうすれば防げる」というノウハウは積むことができる。
  5. 問題を解くことにより、次の問題が顕在化する。
  6. 誰の責任か問うことは、むしろ事故予防から遠のくことがある。(謝罪させてなんぼのマスコミは・・・)
  7. センサーを信頼しすぎるとだめ。センサーが故障していたら?
  8. 自分の名前が入ると仕事が丁寧になる。
  9. お金でヒューマンエラーは防げない。人間の注意力や判断能力を超えた場合は、いくらお金を払ってもエラーは起きる。
  10. 現場の問題点はコンサルタントが解決できない。現場は解決策をわかっている。それを見つけ出し実行させるようにアシストするのがコンサルタントの仕事。
  11. デジタル表示とアナログ表示は得意分野が異なる。

本としてのまとめ方が秀逸

各項の最後でそこの概略を一文でまとめているので、あとから読み直すのがとても容易。本の構成としてよいです。

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とにかく具体的。

ユーザによる失敗を誘発するWebデザインと改善例が載った良書。エラーに特化しているのがよい。

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これから読む

G・Mワインバーグの本はあちらこちらから勧められてはいたのですが、なかなか手を取れずにいました。
著者も必読とまで書いているので、手にとってみようと思います。

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