ウェブアプリケーションのためのユニバーサルデザイン

ウェブアプリケーションのためのユニバーサルデザイン

ウェブアプリケーションのためのユニバーサルデザイン

W3Cアクセシビリティの普及に携わってきた人の本といわれれば、W3CWAI(Web Accessibility Initiative)とか、そのへんの文献かじったことがある人なら興味を持てるのでは。

現在、WebのアクセシビリティといえばWeb Content Accessibility Guidelines 2.0(WCAG2.0)がW3Cから出ていますが、正直情報が多すぎてとっかかりにはきついです。
だけどWebアプリケーションにかかわる者としてアクセシビリティの基本は押さえておきたい。
そんな人にお勧め。
良書でした。

特に押さえてほしいのは 「4章 構造とデザイン」「5章 フォーム」

アクセシビリティのポイントは「仕様に沿った正しいHTMLとCSSJavaScriptを書くこと」だと思っています。

その際に重要になってくるのが「HTMLで文書構造を正しく定義し、CSSで表現を定義する」ということ。
このへんの考え方がよくまとまってるのが、この本の4章です。

そして5章はフォーム。フォームはユーザとのインタラクションの基盤になっています。
「Webアプリケーション」を設計する人なら、(静的なHTMLと比較して)フォームの重要性はわかっているはず。
そのフォームをいかにアクセシブルにつくるかが書かれています。

発展的な内容も

後半の章では、スクリプトWAI-ARIA(Accessible Rich Internet Applications)など、やや発展的な内容の導入が出てきます。ソースコードも多くなってきます。
このあたりが読める人は、もしかしたら実際にW3Cの文献に当たったほうが早いかもしれません。

Mobile Web Best Practiceの解説がもう少しあるとよかった

付録ではWCAGとMWBPの比較などがありますが、もう少しMWBPの解説があってもよかったかも。

今までHTMLをあまり意識していなかったかたに読んでほしい

HTMLはなんとなく書いても動いてしまうところもあって、しっかり押さえていないWebアプリケーション設計者のかたも見受けられます。
ひとこと「もったいないです」

この本を読むと、アクセシビリティにかかわるテクニックがどのような設計思想を体現しているのかが、少しみえてくると思います。
設計思想は、今後HTML5などにフロントエンドの技術が移行していっても、大きく変わることはなく、これからしばらくは生かし続けることができるでしょう。

この本を「とっかかり」として、アクセシビリティ、正しいHTMLを書くことの重要さについての意識が高まるといいなと思います。